アメリカでフォークブームからブルースが見直されるようになったのは、1960年代に入ってである。ヨーロッパ経由で巡ってきたブルースブームが、アメリカでも始まり、古い録音が発掘され再評価された。その結果、多くの老ブルースマンを復活させている。再発見の時代である。
Blind Willie McTellは黒人社会では圧倒的な人気を誇るブルースマンであった。カントリーブルースと分類されてはいるが、その洗練されたギターワークと歌声は、1940年代のシティ・ブルースの台頭にも見事に融合し、1956年録音のこのラスト・セッションにも現れている。老境にさしかかっり、懐メロとして昔の名前で出ている風情は、この録音には皆無である。その力故か、これはブルースブーム、再発見ブーム以前の録音である。残念な事にブルースブームが起きる直前、Blind Willie McTellは亡くなっている。
このアルバムではKill It Kidが二つのテイク収録されているが、いずれも油の乗った演奏をギミックたっぷりに聞かせてくれる。
セコメントをする