ジャンゴ・ラインハルトがヴァイオリンのステファン・グラッペリと組み作ったフランス・ホット・クラブ5重奏団での1934年から1939年にかけての演奏をデジタルリマスターした5枚組アルバムだ。
演奏のすばらしさはもとより、このCDの特徴は、実に音質が良いことである。時はSPレコード(78回転レコード)の時代であり、特にフランスでの演奏などは、その後の戦火の中で良く残っていたものだと思うのである。SPレコードの原盤は、鉄の円盤の上にアセテートを塗り、録音時に振動を直接針でアセテート盤の上に刻みつけていくという手法だと思うのだが、そうした原盤が戦火の中で残っている事が実に興味深い。原盤が「どこにどのように保管されていたのか」については知りうる立場にはないため、どなたか御教唆いただければと思うのである。
いくつかの曲は、その昔のAMラジオで中学生の頃に聞いた記憶があるのだが、音質の悪いAMラジオだったためか、それとも元のアルバムの音が悪かったのか、このCDで聞こえる音とは別物となっている。こうしたデジタルリマスターに伴う音のダイナミズムの減衰という問題は、SP時代のように極端に大きな音が録音できない時代の作品を復刻する場合にはまったく気にならず、ノイズの低減などについて逆にきわめて有効だという事がわかった。
いずれにしても珠玉の音楽が楽しめる素晴らしアルバム。
Disk 1
Disk 2
Disk 3
Disk 4
Disk 5
セコメントをする